【職場でのガスライティング】あなたを壊す手口と目的、その対処法とは?
最近、精神的にとてもつらくて会社に行くのが苦痛でしかたがない。でも原因がよくわからない_それはもしかすると職場でのガスライティングが原因かもしれません。
ガスライティングは、職場や家庭など結びつきの強い集団のなかでおこなわれる「心理的虐待行為」の一種です。とはいえ、頻発する出来事ではなく、その実態について詳しく理解している人は多くありません。
本記事では、ガスライティングの意味や特徴について明らかにした上で、職場におけるガスライティングの目的や手口について解説していきます。また、ガスライティングを受けた時の対処法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
職場の人間関係で違和感を感じ、自分の正気に自信が持てなくなっているのなら、気づかないうちにガスライティングの被害に遭っているのかも知れません。
h2:いくつ該当する?職場ガスライティングチェックリスト
ガスライティングの簡易チェックリストをご用意しました。3つ以上当てはまる場合、一度たちどまり自身の状況を整理するきっかけにしてください。
| チェック項目 | ✔ | |
| 1 | デスク周りの私物の位置が勝手に変わっていることがある | ☐ |
| 2 | 伝達済みの業務連絡を「聞いていない」と言われることがある | ☐ |
| 3 | 同僚や上司の態度が、ある時期から変わったように感じる | ☐ |
| 4 | 自分の記憶に不安を感じることがある | ☐ |
| 5 | 「違和感を感じることが続いている」と自覚している | ☐ |
| 6 | 重要なプロジェクトや会議があることを後から知らされた | ☐ |
| 7 | 上司の評価や言動が、周囲と比べて明らかに厳しいと感じる | ☐ |
| 8 | 精神的に不安定になり、仕事のパフォーマンスに影響が出ている | ☐ |
| 9 | 周囲とのコミュニケーションに不安を感じるようになった | ☐ |
| 10 | 職場に行くことに強いストレスを感じるようになった | ☐ |
h2:ガスライティングの意味

ガスライティングとは何を意味し、どういった由来があるのでしょうか。ここからは、まずガスライティングの意味と特徴を説明した後、言葉の由来について説明していきます。
h3-1:ガスライティングの意味と特徴
ガスライティングは、加害者が嫌がらせや、故意に誤った情報を提示する行為を繰り返すことで、記憶、知覚、判断に対する自信を失わせ、被害者を精神的に不安定にさせる行為です。
被害者から報告があったにも関わらず「聞いていない」と、わざと誤った情報を流し認知を歪ませる。第三者を利用して被害者に不利な状況を作り出し孤立するように仕向ける。これらを繰り返すことで、次第に被害者の正常な記憶力・認識力・判断力が失われるといった特徴があります。
ガスライティングの恐ろしさは、パワーハラスメントのように顕在化しにくいことです。時間をかけて、秘密裏に企てられるために、被害者は被害を自覚できない、あるいは自身の思い違いだとやり過ごしてしまい、状況を悪化させていきます。
状況を悪化させてしまった被害者は、孤立、退職、うつ病、最悪の場合自殺など、悲惨な末路を辿ることになります。そのため、ガスライティングは恐ろしい精神的DV(ドメスティック・バイオレンス)だといわれています。
DVの明確な法律的定義はありませんが、 DV(domestic violence)の直訳は「家庭内の暴力」で夫婦間、親子間など、近しい関係での発生が想定されています。精神的DVの一種に数えられるガスライティングも家庭内において加害者が被害者の正気を失わせて依存させ、被害者を精神的に支配していきます。
しかし、近年この問題は家庭内にとどまらず、学校や会社などのコミュニティーにおいても顕在化してきています。会社や学校側が生徒や社員を辞めさせたいにも関わらず、自主的に辞めない場合に、間接的に嫌がらせをして辞めさせる際にガスライティングの手法を用いる事例が見受けられます。
h3-2:名前はアメリカの映画に由来
ガスライティングは、パック・ハミルトンの戯曲を題材にしたアメリカの映画「ガス燈」(1944年米国版公開)に由来しています。この映画は、夫の精神的DVにより、妻が次第に支配されていく様子を描いた作品です。
作中では、夫が家の中で妻の持ち物を隠したり、偶然をよそおい何度も道で遭遇したり、奇妙な音を立てて、不可解な現象が立て続けに起きているように見せかけます。夫のガスライティングにより、妻は次第に精神的に追い詰められていき、ついには夫に激昂してしまいます。その様子をとらえて夫は妻の気が触れたと周囲に吹聴し、更に彼女を孤立させ追い詰めていきます。
このような手口で加害者は、被害者に正気を失わせたうえで社会的に孤立させていきます。そうする事で被害者は加害者に依存するようになり、最終的に加害者の意のままに操られてしまうのです。
h2:職場におけるガスライティングの目的

日本では、ガスライティングという概念の認知度が低いのが実情です。なかには「ガスライティングは「組織の秩序を保つためには必要な手段だ」という意見もありますが、これはあくまで加害者側の論理にすぎません。実際には「悪しき社内慣習」として受け継がれているケースが多く見受けられます。
職場におけるガスライティングの目的は【被害者の精神的自立を奪う】【被害者を破滅させる】の2つだといえます。ここからは、2つの目的について解説していきます。

h3-1:被害者の精神的自立を奪う
加害者がマニピュレーターの場合、職場でのガスライティングは、被害者の精神的自立を奪い依存させることが目的になります。彼らはパワーハラスメントの様なあからさまな手段は決して使わず、周到に本心を隠しながら、相手や周囲に悟られないように間接的な手段で攻撃してきます。
マニピュレーターを直訳すると「操る者」になり、正に被害者を依存させて意のままに操ることを目的にしています。マニピュレーターたちは隠れて攻撃をしかけるため、心理学的には「潜在的攻撃性パーソナリティー」に分類されるそうです。
マニピュレーターの手口には「親切をよそおい相手を排除する」「罪悪感を押しつける」「過失をよそおい攻撃する」などがあります。
被害者の精神的自立を奪う事が目的の場合、被害者が自分の判断で加害者から離れられなく仕向けたり、加害者の意見に言いなりになることを狙っています。
このような状態が長期間に及ぶと、被害者は強いストレスにより精神的に病んでしまったり、最悪の場合、自殺に追い込まれるなど、悲惨な末路をたどるケースも少なくありません。
h3-2:被害者を破滅させる
職場でのガスライティングのもう一つの目的は、被害者を精神的に追い込み、最終的に破滅させることにあります。職場での破滅とは、すなわち仕事を辞めさせることを意味します。
ただし、ガスライティングは、一時的な嫌がらせや意地悪などとは異なり、被害者が精神的に限界を迎えるまで追い込むため、退職だけで済まないケースも少なくありません。
たとえば、追い詰められた被害者が予期せぬ場面で激昂し、周囲から精神の異常を疑われる。それが原因で精神状態がさらに悪化し自殺してしまうケースもあります。また、加害者に誤った情報を信じ込まされた被害者が第三者に危害を加えたケースも報告されています。
このように、単なる退職に留まらず、肉体的・精神的・社会的に深刻なダメージを負うのが、職場でのガスライティングなのです。
h2:職場におけるガスライティングの手口

職場におけるガスライティングの主な手口は、次の4つです。ここからは、それぞれの手口について解説します。
h3-1:不自然な現象を起こしてみせる
職場でのガスライティングでは、加害者はしばしば不自然な現象が偶然起きたように演出します。被害者は次第に自分の認識や記憶に自信を持てなくなり、正常な判断能力を奪われていきます。
・加害者が起こす不自然な現象には、次のようなものがあります。
・被害者の持ち物の位置を勝手に入れ替える
・被害者のパソコンなどのパスワードを無断で変更する
・扉を閉める音やノックの音、匂いなどで不快感を与える
・偶然を装い、何度も被害者とすれ違ったり遭遇したりする
さらに、被害者が「身の回りで不自然な現象が起きている」と主張しても、加害者は「被害者の妄想だ」といって一蹴します。これらの行為は、被害者に「自分の感覚が異常なのではないか」と思い込ませる効果があり、被害者は、次第に自分の精神状態を疑い、精神的に不安定になっていきます。
これらの行為は単なる嫌がらせとは異なり、被害者の認識を歪め自信を奪い心理的に支配するガスライティングそのものなのです。
h3-2:根拠なく仕事のパフォーマンスを否定する
根拠なく仕事のパフォーマンスを否定する行為も、職場で行われるガスライティングです。
本来、仕事上での指摘やフィードバックは、明確な基準や根拠に基づいて行われます。しかし、ガスライティングを行う加害者は被害者のためになる指摘やフィードバックは決して行いません。それどころか人格否定や過小評価などのネガティブなフィードバックだけを繰り返し行います。
こうした行為により、被害者は次第に自信を失っていきます。自尊心を保てなくなった被害者は、加害者に依存するようになり、やがて加害者の曖昧で主観的な判断に抗えなくなってしまうのです。
h3-3:悪いうわさを流す
職場でのガスライティングでは、加害者が、陰で被害者の悪いうわさや根拠のないデマを別のメンバーなどの第三者に流します。
こうしたガスライティングで加害者からよく発せられる言葉は「被害者の良いうわさを聞かない・評判が良くない」「被害者には関わらない方が良い」といったフレーズです。
加害者は、ターゲットにした被害者の根拠のないデマやうわさを不特定多数に流し、被害者を貶め孤立させていきます。
h3-4:プロジェクトやチームのメンバーから外す
職場でのガスライティングには、被害者がそれまで参加していたプロジェクトやチームから意図的に外される事例があります。この方法は、被害者に「自分が軽視されている」「自分は不要な存在だ」と思わせることが狙いです。
具体的には、重要な会議や打ち合わせに被害者を参加させない、被害者にだけ情報共有を行わないなどです。こうする事で被害者は孤立させられたり、情報不足により本来のパフォーマンスを発揮できず仕事で失敗するなどし、結果として会社での評価を下げてしまうことになります。
加害者はこのような状況を意図的に継続させ、被害者に自身の能力や価値に対して疑問を抱かせて、徐々に自信を奪っていきます。更に加害者は陰で「被害者は終わった存在」「被害者にはもう関わらないほうがいい」などと周囲に吹聴してまわります。
h2:職場でガスライティングを受けた時の対処法

職場でガスライティングを受けた時の対処法は、次の4つです。
・加害者から距離を置く
・ガスライティングの証拠を残す
・ガスライティングを幹部や人事部に告発する
・法律や心の専門家に相談する
ここからは、それぞれの対処法について解説します。
h3-1:加害者から距離を置く
まずは、加害者やガスライティングが起きている集団・コミュニティからできる限り距離を置くようにしましょう。職場において加害者から距離を置くことは難しいかもしれませんが、同僚に相談したり、加害者と極力顔を合わせないなど工夫してください。
加害者は「空気が読めない」「和を乱している」などと吹聴し被害者が耐えるように仕向けます。しかし、耐え続けたとしても事態は改善せず、いずれあなたは精神を病んでしまいます。どうしようもない状態になる前に、異動や休職を積極的に申し出ることが大切です。一時的に集団を離れることで、本来の自分を取り戻すことができます。
更に「異動や休職」を申し出たさい人事部門は必ずその理由を確認してきます。その時に自分に起きている事を人事部門が知る事になり、事実であれば加害者が何らかの処分をうける可能性があります。加害者にとっては、事態が顕在化しないことが最も好ましい状況なのです。
h3-2:ガスライティングの証拠を残す
加害者からうけたガスライティングは、すべて証拠を残すようにしましょう。客観的な証拠を残すことで加害者は「被害妄想だ」などと言い逃れできない様になります。また、社内のコンプライアンス対策室や行政に救済を求める際の有効な証拠になるためです。
具体的には、加害者とのSNSでのやりとりを画像で保存し、ガスライティングが起きた日付を記録し時系列でまとめておくと良いでしょう。
ちなみに加害者に悟られないようにガスライティングの記録を取る行為は、その当事者が行うのであれば合法です。たとえば、被害のメモ書きは、電子メールで自分の個人メールアドレスに送信し証拠を確保したり、加害者とのオンライン会議の内容を録音することもおすすめです。
h3-3:ガスライティングを幹部や人事部に告発する
ガスライティングの記録が集まってきたら、問題を幹部や人事部へ告発しましょう。告発する際は、メールや録音などで残した記録を客観的な証拠として時系列にまとめておくと、告発がスムーズに受理されやすくなります。
なお、会社のコンプライアンスが機能しているうえで、告発に成功した場合、ガスライティングをおこなった加害者を所属する部署から異動させたり、悪質な場合、解雇などの厳しい懲戒処分が加害者にくだる可能性があります。
h3-4:法律や心の専門家へ相談する
ガスライティングの被害に遭っていると感じたら、可能な限り早く関連する専門家にも相談しておきましょう。
まず、頼るべきは、弁護士など法律の専門家です。現行法では、直接的にガスライティングを違法行為とする法律はありませんが、物証によっては「ストーカー規制法」「侮辱罪(刑法231条)」「名誉棄損罪(刑法230条)」のいずれかで違法性を問える可能性があります。
一方、ガスライティングで精神的にダメージをうけている場合は、心療内科などを受診し適切な治療やアドバイスを受けることがとても大切です。
心療内科で診察を受けることで被害者は、本来の自分と正気を取り戻すことができます。また医療機関を受診する事で診察とあわせて診断書を発行してもらうことが可能です。診断書は会社に告発する際や加害者と法的に争う場合に非常に有効な証拠になります。
h2:職場でのガスライティングには適切な対応を
ガスライティングは、加害者による嫌がらせや間違った情報操作により、被害者を精神的に追い詰めていく精神的虐待の手段です。
職場におけるガスライティングには、精神的自立を奪ったり被害者を破滅させたりする目的があります。
加害者の手口は不自然な現象を職場で起こしてみせたり、悪いうわさを流したりと、巧妙かつ悪質です。また、面と向かって仕事のパフォーマンスを否定したり、被害者が携わってきたプロジェクトやチームから外すなどの直接的な場合もあります。
このようなガスライティングを職場で受けた場合は、加害者から距離を取って精神的回復を図ったり、被害を記録することが大切です。自身の回復と同時に証拠を十分に収集し、ガスライティングの事実を人事部に告発するなど、事態の改善をはかるアクションを起こしてください。
まちがっても「ガスライティングに耐え続ける」という判断だけは決してしないで下さい。近い将来、間違いなくあなたの心が壊れてしまいます。
| ガスライティングなどの労働問題を扱う相談窓口 | ||
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